比べる目から伸びる芽を見つける目

 先生の投げかけに対し、自分の経験を振り返る子、自分が育てる主体者となっていろいろ想像を掻き立 てたり疑問を投げかけたりする子、あまり関心がなく反応しない子などと、子どもの反応は実に様々で、 一人一人の表情も違ってきます。 実際に種を蒔いた体験がある子とない子では、反応が当然違います。また、子どもが、今、何に興味・ 関心を持っているかによっても違ってきます。
 
 私たち大人(教師)は、活動の目標に向かって手立ての工夫を講じると、子どもに対して何らかの反応 を期待してしまいます。自分の期待に応える子の反応を受け止め、何の表出も見られない子に対しては関 心がない子と、その様相から判断してしまいがちです。しかし、大切にしなければならないのは、その子 なりの反応にはその子なりの理由があり、その子の思いを受け止めることです。思いを受け止めてから子 どもに発する一言と大人の指導を押しつける一言とでは大きく違います。それによって、子どもの思いや 願いは変わり、アサガオの栽培に自ら関わろうとする意欲に影響するものと思います。   今、幼小連携から「接続」が重視される中で、幼児(子ども)をどのように理解し、その子のよさや可 能性をどのように見出そうとするか、大人(教師)の目、姿勢こそ互いに共通理解しなければならない視 点であると考えます。 同じ活動を提案しても、一人一人の発達による違った姿が見られます。ここを忘れて、他の子と比べて 見てしまったり、できないところばかりに目が向いてしまったりすれば、・・・。   日常の様子からも、大人からの投げかけに素早く反応する子、一方では、何の反応も示さない子もいま す。つい、何もやろうとしない、できない姿が目に付いてしまいがちですが、「~しようとしている」と、 今その子が伸びつつあるところに目を向け、必要な経験を考えていくことこそが、大人の大切な関わりに なります。
 
           比べる目から伸びる芽を見つける目です。
 
  今はこういう段階にいると、プラスの見方で見てあげることで、その子の得意とするところやその子な らではのよさが見えてくるものです。何よりも、子どもに自信と安心感を持たせていくことが大人の役目 であると考えます。

 

                                                                                                  栃木県幼児教育センター 2018.08